Q.先代の相続に関する遺留分というものがありますか?
このたび父が亡くなりました。被相続人である父は長男であったため、先代から父への相続の際、父が家を継ぎ、父の兄弟たちは何ももらわなかったようです。父の兄弟たちはそれを理由として、遺産の分配を請求してきたのですが、やはり最低限保障された権利があるのでしょうか。
A.遺留分はありません。
遺産相続というと、今でもなお「家を継ぐ」という意識が根強くあるようです。明治民法では家制度があり、相続も戸主が一人ですべてを相続する「家督相続」という制度でしたし、戸籍は戸主の下に一族がまとまる「家」の象徴のような側面がありました。
戦後になって法律が変わっても、人間の意識がそう急に変わるということもありませんでしたし、また産業構造の問題もあって「長男が家を継ぐ」という意識は今日まで続いてきています。
例えば、一昔前ならば、家業が農家である場合、農地を分割して規模を小さくしてしまっては農業経営が成り立たなくなりますので、やはり誰か一人が「家業である農業を継ぎ」、「すべての農地を相続する」ということが一般的であったのです。その際、長男以外の兄弟は「自分は被相続人の生前に相続分以上のことを十分にしてもらったので、相続分はありません」との書面に署名押印をし、それに対して長男がいくばくかの「ハンコ代」を支払うということが広く行われてきました。
しかし今日では一般市民にも権利意識が浸透してきましたので、当時としては当たり前であったことに今更ながらに疑問が出てくるのも、心情的には必ずしも無茶とは言えないでしょう。
前置きが長くなりました。では実際のところ、お父様のご兄弟に遺留分もしくは相続分があるかといえば、答えは「無い」ということになります。法定相続人も、遺留分権利者も法律で範囲が決まっております。今回のように被相続人のお子様が相続人であるケースでは、お父様のご兄弟は実際の相続人とはなり得ませんから、相続分がありません。相続人とならない以上、遺留分権利者になる可能性もゼロです。もっとも兄弟姉妹が相続人となるケースであっても、兄弟姉妹は遺留分権利者にはなり得ないのですが・・・( 相続人でも遺留分の無い人 )。
したがって、もしお話し合いの場を持つとするならば、法的権利うんぬんのお話とは違った形で考えることになりましょう。
